何を読むか

日本には無数の本がある。その中で何を読むべきか迷ったことがあるという人は多いと思う。が、私は読むべき本、必読の書というものは「ない」と考える。実際、私は漫画から純文学まで幅広く適当に読んでいる(理系の本はあまり読まないが)。

それらの本のなかで私が人に勧めるとしたら、ケストナーの「飛ぶ教室」を挙げる。戦前ドイツの児童文学であるが、現代人が読んでも楽しめる名著である。あらすじは、学校の寮に入っている主人公がクリスマスに実家に帰れなくなった。父親が失業中で、親の仕送りが足りなかったからである。さあ、どうするか。

ドイツ文学には悲劇的で難解なので、面白みに欠ける作品も多い。しかし、飛ぶ教室はユーモアにあふれていて、一度読み終えてもまた読みたくなる。ちなみに、時代背景は世界恐慌(1929~1933年)のまっただ中で、多くのドイツ人が職を探していた時代である。その後ヒトラーが政権を握るのだが、ケストナーヒトラーの攻撃にも立ち向かった勇敢な作家である。それも含めて、ケストナーを薦めたい。